清水研 運営方針
(A Guide to 清水研 for Students, Version 2.2)
1 基本方針
大学院は研究をするところです。 したがって、院生からみると、研究の機会と環境を
与えるのが大学院の研究室の役割ということになります。 そこで、次のような方針で運営したいと思います。
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やる気と能力を兼ね備えた人がいくらでも伸びるように、 というのを基本にします。
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逆に言うと、大学院生は,大人ですから,やる気のない人に,無理にやる気を起こさせる,ということはしない(できない)と清水は考えます。
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清水は、いわゆる「学生の抱え込み」は良くないことだと 考えますから、途中で他の研究室に移るのは(相手がオーケーすれば)
自由です。その場合は、 できるだけ早めに申し出て下さい (大学は1年単位で動いているので、
唐突に言われると障害が生ずる場合がありますから)。
2 研究テーマについて
しばらくの間,メインテーマを,
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量子系のマクロ化とその安定性
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量子系の散逸
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量子系の制御の限界・制限の模索
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量子系の非平衡状態の理論
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以上の具体系への応用
あたりにテーマを絞り,
修士課程では,これらのテーマに関連する研究に加わっていただきます.
博士課程では,その延長上をやってもよいし,別のテーマを自分で探してきても良いです.
(ただし、テーマ内容によって、清水が 手助けできることの量と質が異なってきます。)
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研究を始めたら、単に自分の計算をしているだけでは 済みません。自分のテーマの背景を調べ、過去の仕事を理解し、次々と出てくる
関連論文を follow する必要があります。 この部分を、先生がやってくれるものと誤解しないでください。
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清水の研究スタイルとしては、何かに興味を持ったら、それについて過去の仕事を調べ尽くすよりも、一から自分で考えるようにしています。きちんと考えれば、必ず過去には無かったオリジナルな部分が出てくるので、たとえ一部分が過去の仕事と重なっていることを後から知っても、残りの大部分は新しいので、結果としては、最初に過去の仕事を調べ尽くしたときとたいして変わらないからです。しかし、このスタイルのポイントは、「きちんと考えれば、必ず過去には無かったオリジナルな部分が出てくる」という点にあるので、この点に自信のない人は、過去の仕事を自分で調べ尽くすようにしてください。
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つまり、清水は、研究テーマの内容については、議論やアドバイスやコメントを可能な限り行いますが、そのテーマが新しいか否か(=すでに他の人によって研究をなされたしまっていないかどうか)については、ほとんどコメントできません。世の中には種々の情報源(データベースなど)がありますから、新しいかどうかは、自分で調べてください。
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華道や茶道と異なり、科学では、弟子が先生より上に行くのが普通です。 なぜなら、科学は常に進歩しているし、先生が、自分が
苦労してつかんだポイントを、弟子に教えることを惜しんだりしないからです。
ですから、少なくとも博士課程後期には、 「自分のテーマとその周辺については、先生に教えてあげている」
ぐらいが、普通です。(本当は、修士課程終了時にこうなっていることを期待しています。今活躍している先生たちは皆そうだったと思います。)ただし、いきなり答えを教える(そうすると、なにも身につかないことが経験上わかりました)と言う意味ではなく、答えに到達するためには何を考えればよいかなどのヒントをたくさん与えます。
3 最低限身につけること
実験家が、オシロスコープを使えなくては話にならないのと 同じように、理論家にも最低限身につけておかないと困ることが
いろいろあります。(これは、時代とともに変わっていくので、 昔とは異なりますし、今後も変更されると思いますが。)
大学院では、「何学期にこれをやって、次にこれをやって」というような 指示は、もらえないのが普通です。
(下のようなことを書くだけでも、蛇足のような気がするぐらいです。) 自分でスケジューリングして、修士課程の
できるだけ早い時期に身につけて下さい。 清水は、あなたが修士課程の修了時までに、以下のことを全て
身につけているものと仮定して接します。
3.1 物性物理の基礎(ミニマムのミニマム)
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場の量子論の基礎
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相転移と自発的対称性の破れ (例題として、超伝導を勉強すべし)
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繰り込みの基礎
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準粒子の考え方
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線形応答理論(特に、非平衡開放系の問題を、どうやって ハミルトン系の問題に還元しているかとか、揺動散逸定理の意味など)
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温度グリーン関数 (例題として、不純物散乱による電気伝導度を梯子近似で、また、
電子ガスの誘電応答をRPA近似で計算すべし)
3.2 清水研用のプラスα(ミニマム)
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開いた系の扱いの初歩
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光子の状態として、number state、コヒーレント状態、squeezed state 等を 理解する。また、これらの量子状態と、Bogoliubov
変換などとの関係を理解する。
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メゾスコピック系の基礎(Landauer formula, reservoirの考え方, 位相緩和とエネルギー緩和の違いなど)
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半導体電子系の有効質量近似を理解し、それを用いてナノメータースケール の人工構造(量子井戸や、量子箱)の電子系が、なぜ擬低次元系として振る舞うか、
本当の低次元系とどこが違うか、などを理解する。
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その他、自分で必要と思うこと、おもしろいと思うこと。
3.3 研究道具
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電子メール。 清水研の連絡は、主として電子メールと、ASone (清水研のワークステーション
1号機)の news で行います。 また、外国への論文投稿も、Web経由で行います。
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パソコンの基本的操作。 パソコンからワークステーションへのログインとか、お絵かき、
LaTeX など。
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数値計算の仕方。 現代では、「数値計算ができない」というのでは、 大きなハンディを負うことになります。
専門家のような巨大な計算を練習する必要はありませんが、 数値計算の考え方、fortran
の書き方、 走らせ方、ファイルとのデータの入出力、誤差の管理、 計算時間の算出の仕方(データ量をN倍すると
何倍になるか)、メモリー必要量の算出の仕方(同左)、などを 身につけておいて下さい。
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LaTeX の使い方。学会予稿も、修論も、投稿論文も、すべてこれでやります。
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特に、M論テーマとして (A)コースを選ぶ人は、以上のことを「必要になったらやる」というのでは、
間に合いませんから、要注意です!
4 研究室活動
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清水研セミナー:必ず出席して下さい
内容は、(a) 自分が考えたことをとりあえず発表してみる、 (b) 自分が最近勉強したことをレクチャーする、
(c) 論文(または一連の論文群)の紹介、のどれでも可.
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物性グループセミナー(ときどきある):できるだけ出席して下さい
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学会、研究会、他研究室のセミナーなど:自由に出席して下さい
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清水との議論:いつでもどうぞ。ただし、お互いの時間の節約のために、 要点を整理してきて下さい。