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研究室セミナー
他の研究室のスタッフ・院生の方々の来聴も歓迎します





2000/12/22(Fri)
Lecturer 田崎秀一(早稲田大学)
Title 量子1次元導体の非平衡定常状態 --- C*代数からのアプローチ ---
Abstract 完全導体からなる二つの熱浴にはさまれた1次元導体における定常状態への 緩和と非平衡定常状態の性質について報告する。 C*代数の理論を用い、熱浴を含む全系の時間発展を追跡すると、t→∞の 極限で、任意の初期状態が非平衡定常状態に弱収束することが分かる。こ の定常状態はガウス的で、ゼロでない電流を伴っている。さらに、全系の 時間発展が可逆であるにもかかわらず、電流と電位差、温度差の関係は熱 力学の第2法則から期待される符号を持ち、Sivan-Imry/Bagwell-Orland らによって与えられたLandauer型公式と一致する。時間反転対称性のため、 反第2法則に従う定常状態も存在し、任意の初期状態はt→‐∞で、この定 常状態に弱収束する。つまり、状態変化を弱収束と考えれば、時間発展の可 逆性と一方向的な状態変化(不可逆性)は両立する。 さらに、t→∞の極限で得られる定常状態における電流揺らぎの相関関数、 久保公式についても論じる。

2000/12/05(Tue) ※15:40から16号館1階129にて
Lecturer 田崎晴明(学習院大学)
Title 熱力学第二法則の「導出」にむけて
Abstract マクロな世界を特徴づけるもっとも美しく力づよい法則である熱力学第二法則と、よ りミクロなレベルでの物理との論理的関係を明らかにしたい。背景を素描したあと、 統計力学と力学にもとづいた第二法則の導出、量子力学のみを用いた 第二法則の導出、といった最近の模索について述べたい。

2000/11/24(Fri) ※14:40から
Lecturer 小芦雅斗(総合研究大学院大学)
Title Quantum information and quantum computing
Abstract 不確定性原理、重ね合わせの原理や、非局所的な性質など、 量子力学の持つ基本的な性質をうまく利用すると、 暗号通信や高速な計算が可能であることが明らかになり、 量子情報と呼ばれる分野が近年著しく発展しています。 この進展は、情報科学の枠組みから量子力学を見直す ことにもなり、量子論に内在する構造に対する理解も 深まってきています。本セミナーでは、量子アルゴリズムや、 量子エラー訂正など、量子計算の原理を中心に、 量子暗号、量子テレポーテーション、エンタングルメント についても簡単に解説します。

2000/11/17(Fri) !!16:20 から!!
Lecturer 窪谷浩人(神奈川大学工学部)
Title Quantum Dynamics in Non-Linear System
Abstract 「量子系にはカオスは存在しない。」とよく標語的にいわれる。 確かに、孤立系だとエネルギー準位がdiscreteになり、 波動関数はその振動数で振動するわけだから、数学的には回帰的な regular motionと言える。 そこで、量子カオス研究では、エネルギー準位統計や固有関数の 複雑さに系のもつ非線形性の痕跡を探そうと精力が注がれてきた。 しかし、振動する固有関数を重ね合わせに過ぎない状態でも、 記述する価値のある動力学があるのではなかろうか? 量子系の時間発展における非線形性の役割について、 (元宇宙論研究者なりに)考えてきたことを紹介したい。 参考文献 Kubotani, Okamura, and Sakagami, Physica A214(1995), 560. Kubotani, quant-ph/9911002.

2000/11/10(Fri)
Lecturer 藤崎
Title Theoretical study on multimode effects in molecular nonadiabatic processes
Abstract Recent development of laser technology enables us to `see' the chemical dynamics far from equilibrium, i.e., the dynamics of highly excited states. In such a situation, the Born-Oppenheimer approximation often breaks down and many potential energy surfaces have avoided crossings or conical intersections, i.e., nonadiabatic transitions occur in molecules. To author's knowledge, however, there are little studies concerning the dynamics of highly excited states in multimode nonadiabatic systems.
In particular, `chaotic' properties of the systems have not been investigated in detail until now. Here I take Heller's two-mode-two-state system as a minimal model to study the competition between nonadiabaticity and multimodeness, and investigate some aspects of `chaos' in the system.

First, to quantify `chaos' in the system, we employ some measures which are often used in quantum chaos studies: The nearest-neighbor spacing distribution of energy levels, the $\Delta_3$ statistic (spectral rigidity), and the amplitude distributions of eigenfunctions. We find that there exists the parameter region where all the measures indicate `chaos' in the system.

Even in the `chaotic' region, however, the spectroscopic data can exhibit some regular shapes, which are related to `hidden' regularity of the eigenfunctions of the system. We find that some of these regular states favor the adiabatic surface or the diabatic surface. (Note that, in this case, we consider neither the adiabatic limit nor the diabatic limit.)

Finally we will discuss the consequence of our results, especially, the issue related to electron transfer reactions.

2000/10/13(Fri)
Lecturer 林 久美子
Title 論文紹介 (The Physics and Mathematics of The Second Law of Thermodynamics)
Abstract この論文の立場である`no mention of statistical mechanics`を、「通常は、分子論的立場がよりファンダメンタルなレベルで熱力学を基礎づけるものと見なされている.(熱学思想の史的展開(山本義隆))」の逆に取って、熱力学のほうが分子論を裏付ける、と解釈する。この論文では「温度」、「熱」という概念に触れずに、断熱過程の物理的な性質をAxiomsとしてエントロピーfunctionを導出する。熱力学第2法則に関しては関連論文についても触れたい。基礎的な論文だからこそ重要視したい。

2000/6/30(Fri)
Lecturer 浮穴 学尚
Title 量子計算
Abstract 量子計算についての総合レビュー論文Quantum comptation and Shor's factoring algorithm (Ekert & Jozsa 1996)を解説します。 Shorのアルゴリズムの説明とデコヒーレンスの問題に重点を置き、時間が許せば 後者についてのその他の研究も紹介したいです。

2000/6/16(Fri)
Lecturer 池上高志 (池上研ボス)
Title 自然言語の新しい理論に向けて
Abstract 自然言語の構造について考えても、多くの場合わかり方すらわからぬまま 興味が消えてしまうのが現実だと思います。しかし研究者は多く、人工知能、 ロボット工学をはじめ、発達心理学や人工生命にいたるまで、そのかずは増 加する一方です。ついに言語の進化と起源を問う国際会議が復活しました。 「復活」というのは、言語の起源については問うてはいかん、というお触れ がかつて出たからです。
私は、生命の進化のモデルをごちゃごちゃやっているうちに、言語の問 題と進化のモデルで問題にしていることの同型な構造に気がついて始め たという経緯があります。またここ2ー3年遊んでいるモデルは、言語 のモデルとしてあまりに相性がいいのです。他にも友達に言語学者がい るとか、まぁいろいろあって、ちょっと言語について真面目に考えているわけです。 しかし、あまり研究にはなっていません。面白いところは難しくて手が つかないし、つまらないところは幾千の論文になっているというわけで すね。
言語を考え始めた時に、4つの問題について考え始めました。 それは、

1. マイケルレディーの機械
2. 言語ゲームの理論
3. 談話構造と心の共進化
4. 心の理論と言語獲得

です。これらを紹介しながら、私の考える言語のイメージとわかり方 や方法論などが、伝わればと思います。人の言葉も「物性」なので、ゆ くゆくは物性理論の中心テーマになるかとも思ってます。 (もちろん冗談です。)

2000/6/9(Fri)
Lecturer 清水
Title 多自由度量子系の原理的・基礎的問題についての雑談
Abstract 多自由度の量子系の物性理論というと,最もポピュラーなのは,特定の物質群や 特定のモデル群の,基底状態と低エネルギー励起を求めて物性を議論する, というものですが,清水の興味はそういうことではなく, もうすこし,原理的・基礎的問題にあります.たとえ,ポピュラーな物性を 研究しているときでも,原理的・基礎的問題を考えるための具体例として 捉えていることが多いです.そこで,清水の考える,多自由度量子系の 原理的・基礎的問題とはどういうものかを,いくつかの例をあげて説明します. そして,具体的アイデアとして,思いつきをいくつか紹介します. 思い付きですから,そのうちの半分以上は,ちゃんと検討すると, つぶれるでしょう(^_^;.でも,中には,改良を重ねれば(これが大事!), ちゃんとした研究に結実できるものもあるかもしれません.まあ, 共同研究者募集のおしゃべりという感じで,気楽に聴いてください.

2000/6/2(Fri)
Lecturer 斎藤
Title Intermittent implosion and pattern formation of Bose-Einstein condensates with attractive interaction
Abstract The collapsing dynamics of a trapped Bose-Einstein condensate (BEC) with attractive interaction is revealed to exhibit two previously unknown phenomena. During the collapse, BEC undergoes a series of rapid implosions which occur intermittently within a very small region. When the sign of interaction is suddenly switched from repulsive to attractive by e.g., the Feshbach resonance, density fluctuations grow to form various patterns such as a shell structure.

2000/5/19(Fri)
Lecturer Miyadera
Title Macroscopic Quantum Coherence and its Robustness in the Environment
Abstract

2000/ 7/7(Fri)〜9/29(Fri)
なし(夏休み等)

過去の予定表


うちわむけの備考

順番表

┌→浮穴→林→町田→宮寺→加藤→清水→─┐
└───────────────────┘
自分が喋るか、または、外部の人を呼んで来る。
また、俺にやらせろ! という人はいつでも歓迎。

内容は、以下のいずれでもかまいません.

  1. 自分が考えたことをとりあえず発表してみる
  2. 自分が最近勉強したことをレクチャーする
  3. 論文(または一連の論文群)の紹介