ワイドテレビのあほらしさ  (1999年8月)



この続編としてワイドテレビからデジタルテレビへを書きましたので、是非ご覧ください。 (2007年4月)



今、店頭で売っているテレビには、普通のテレビ(ブラウン管の横:縦の長さが4:3)と、ワイドテレビ(同16:9)とがあります。店員が熱心に薦めるのはワイドテレビです。でも、いくら薦められても、ワイドテレビなんか買ってはいけません!その理由を書きます。

ワイドテレビは、縦につぶれたテレビである!

ビデオソフトの画面の横:縦の比は、4:3(TV サイズ)、16:9(ビスタサイズ、HiVision サイズ)、もっと横長(シネスコサイズ)の3種類です。このうち、今後主流になる、4:3と 16:9の映像を、普通のテレビとワイドテレビに映した場合の有効画面(絵が映っている範囲)の面積を比較しましょう。

テレビの「N型」というのは、ブラウン管の対角線の長さが N インチという意味で、例えば29型テレビと言うのは、対角線の長さが29インチという意味です。ここでは、売れ筋である、N が30内外の場合を考えます。簡単な計算から、およそ次のルールが成り立つことが判ります。
 

このように、普通のテレビは16:9映像を映してもそこそこの大きさの有効画面を持っていますが、ワイドテ レビに4:3映像を映すと、かなり無駄が出てしまうのです。従って、仮に4:3映像と16:9映像を半々の比率で視聴すると仮定すると、普通のテレビの方が平均して大きな映像を見ていることになります。ましてや、現実には4:3映像を見ることの方が多いわけですから、ワ イドテレビを買ってしまうと、多くの時間は小さな映像を見ることになってしまうのです。このため、普通のテレビを使っていた人がワイドテレ ビに買い換えると、「画面が小さくなった」と感じてしまうのです。つまり、「ワイド」テレビとは名ばかり で、実態は、縦につぶれたテレビなのです

ワイドテレビの絵は、歪んでいる!

現実には4:3映像を見ることの方が多いわけですから、4:3映像をどうみるかを考えてみます。

ワイドテレビでは、4:3のまま映していると、画面の両端のかなりの部分に、画が映らないことになります。これが、「焼け付き」という現象を引き起こしてしまいます。つまり、いつも画が映っている部分と、そうでない部分 とで、ブラウン管の蛍光体の特性が変わって(明るさや色合いが変わって)きてしまうのです。そのために、16:9の映像を見たときに、画像に醜い境界線が 2本できてしまいます。

これを防ぐために、ワイドテレビでは、4:3映像を、横方向に引き延ばして16:9に変換して見ることを推奨されています。つまり、横に引き延ばされた、歪んだ画を見なさい、ということです。しかも、引き延ばしたことをできるだけ目立 たないようにしようとして、中心付近と周辺部分とで、引き延ばし率を変えています。そのために、カメラがパ ン(水平に回転させる)をすると、物が膨らんだり縮んだりして、目がくらくらするようなひどい画像になります
 

ワイドテレビは、切り替えが面倒

このようなことを避けるために、引き延ばしをしない、「ノーマルモード」で使うとどうなるで しょう?この場合、16:9の信号は、テレビが自動判別して、16:9で映してくれます(最近のワイドテレビで、S-cable で接続すれば、ですが。)

しかし、まず、上記のような、焼け付きの問題が発生します。しかも、もうひとつ、とんでもなく面倒な問題が発生します。それは、16:9の画像と言っても、現実には、真性の16:9信号ではなく、4:3の信号で、16:9の画面を持つソフトが、 ほとんどだ、ということとです。そのようなソフトを「ノーマルモード」で再生すると、ワイドテレビは、画面の中心付近に、4:3画像として 表示しますから、画は、その4:3の範囲内の、16:9の部分にしかなく、おそろしく小さな画像になってしまいます!

これではあんまりなので、そのようなソフトの場合だけ、「ワイドモード」に切り替えるしかありません。そして、そのようなソフトを見た後は、また 「ノーマルモード」に戻す…。あなたは、そんな面倒くさいことを、やってられますか?
 

普通のテレビなら、すべてが程々に満たされる

以上の点は、普通のテレビなら、あまり問題にはならないのです。焼け付きは、16:9 映像を見るときに生じるわけですが、4:3映像の方が多いので、焼け付きは起こりにくくなりますし、たとえ起こったとしても、画面の上下の、比較的小さな 面積の部分なので、ほとんど気になりません(どうせ、字幕が出たりする部分ですし…)。唯一の問題は、今後徐々に増えてくる、真性の16:9の信号(4: 3で16:9の画面を持つものではなく)が、横につぶれて映ってしまうことですが、解決策は2つあります:

画質を重視する人なら、この2つの解決法のうち、後者を選んで下さい。なぜなら、後者では、走査線の数は変 わらずにスキャン範囲が狭まるだけなので、前者よりもずっと高画質が得られるからです。

このように、「スクイーズドモード対 応」の4:3テレビなら、まったく手動切り替えをすることなく、いつも、可能な限り最大の面積で、最高の画質で見ることができるのです。
 

…というわけで、結論は

今買うなら、スクイーズドモード対応の、34型または29型の4:3テレビ!

ということです。具体的な機種は、1999年8月現在では(半年ごとに新製品がでるので、気を付けて下さい)…

例えば、SONY KV-34DR1, KV-29DR1 とか、東芝 34Z5Pとか、松 下TH-33FB2なんてどうでしょうか?

高画質機なら、例えば、SONY KV-34DRX5, KV-29DRX5 なんてどうでしょうか?
 

お粗末様でしたm(___)m
 


御質問・コメントは shmz (=^..^=) as2.c.u-tokyo.ac.jp まで。((=^..^=) を半角の @ に置き換えてメール送信してください)

ただし、すぐにお返事できるとは限りませんm(__)m

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