物性基礎論とは何か?


物性基礎論というのは、英語には(たぶん)ありません。しかし、日本では、「物性基 礎論・統計力学」という領域名が昔からあります。この物性基礎論とは何か?

これは、ずいぶん昔に誰かから聴いた話なので、本当の歴史とは違うかもしれませんが、こういうことのようです。
(詳しい歴史的経緯をご存じの方がいたら教えてください。)

昔、久保亮五先生が、「統計力学」という名のもとに、現実の物理とは関係ないような(つまり物理的には無意味な)単なるモデル計算や形式論が蔓延していることを 嘆き、もう学会の領域名は、「統計力学」というのは止めて、「物性基礎 論」と呼ぼうと おっしゃり、「物性基礎論・統計力学」という領域名になった。(「統計力学」をはずすのはさすがに反対が強く、並記した。)

つまり、実在のマクロ物理系の物理の基礎的な部分を研究するという、本来の意味の統計力学です。久保先生は、それは物性理論の基礎を研究するということに他ならないから、「物性基礎論」名付けたのだそうです。

僕は、この意味の「物性基礎論」も、電気伝導を中心とする非平衡現象について、研究しています。