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No application is
necessary.
Lecturer |
長岡浩司 (電気通信大学・情報システム学研究科) |
Title |
ある情報理論的不等式とその統計物理学的意義について |
Date and Place |
2003年11月25日(火)13:30〜17:30。 場所: 16号館1階119号室 |
Abstract |
情報理論的エントロピーとユニバーサルデータ圧縮に関連した、ある漸近的不等式(およびその量子力学版)を紹介する。この不等式は、注目している統計量の値域のサイズが、定義域のサイズに比べて圧倒的に小さい、という仮定から導かれるもので、「微視的状態の関数として定まる巨視的物理量」という統計物理学的状況とのアナロジーを強く感じさせるものである。(ラフな言い方をすれば、ボルツマン・エントロピー S = log W とシャノン・エントロピー H = - Σp log p の間に常にS≧H が成立し、かつある条件のもとで等号が成り立つ、という意味に近いことを漸近的に表現したもの。)また、不等式は Han-Verdu に始まる所謂「情報スペクトル的方法」(シャノン流の情報理論を最も一般的な形で記述するための方法論)の考え方にもとづいて定式化されており、同方法の特徴であるきわめて高い一般性と簡明性とを有する。実際、不等式の導出は驚くほど初等的であり、難しい数学は一切使わない。講演者は物理の専門家ではないが、この不等式が、統計物理におけるある種の基本的問題(熱力学第二法則の基礎付けなど)を考える上での一般的枠組みを提供する可能性はあるように思う。(もしかすると、既に知られた結果なのかもしれない、とも思う。)ただし、肝心の不可逆性の起源そのものを理解するためには、この枠組みを「額縁」とした「絵」を描かなくてはならず、それについては手も足も出ないというのが正直なところである。この不等式と統計物理との関連について、物理学者の方々の忌憚のない御意見を伺えればと願っている。 なお、講演内容の一部は有村光晴氏との共同研究に基づくものである。 清水追記: 情報理論のチュートリアル的な内容も含めてくださるように お願いしましたので、バックグラウンドが無い人でも大丈夫だと 思います。(そもそも、清水が、ほとんどバックグラウンドゼロです。) |
Lecturer |
小嶋 泉 (京都大学 数理解析研究科) |
Title |
Nonequilibrium Local States in QFT and a Unified Scheme for Generalized Sectors |
Date and Place |
2003年3月24日(月)10:30-17:30, 3月26日(水)10:30-15:30?
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Abstract |
場の量子論の枠組で,与えられた未知状態を非平衡熱的状態として 局所的に同定するための簡潔な判定条件を定式化する。物理的には これは「階層化され局所化された熱力学第0法則」として,非平衡局所 状態か否かの判定と同時に,選ばれた状態の局所熱力学的な物理的 解釈をも保証する。 最近,この判定に用いる基準系の局所化により,比較対象を curved spacetime の量子状態にまで拡張できることが明らかになった(さらに 非相対論化した場合の状況をも解明する予定)。 このような記述法は非平衡局所状態の議論に限るものではなく,generic なミクロ量子状態の全体から,特定の特徴的振舞を示す状態のクラス (e.g., 真空,熱平衡,etc.)を選び出し,その分類パラメータから成る分類 空間を構成することで,選ばれた状態クラスに特徴的な構造・性質(e.g., 内部対称性の群の表現に関する分類,相図の解明,etc.)を統一的に 解明するための一般的枠組の典型例になっている。時間が許せば後者 についても議論したい(現在改訂中)。 |